コンテキスト推定
TOC
コンテキスト推定チームでは,スマートフォンやBluetoothデバイス,磁場を発生させるデバイスなどを用いて,日々の行動からセンサデータを収集し,「人の行動の認識」や,置かれた環境の推定をするための研究を行っています.より詳細には,歩く・座る・階段を登るなどの行動の高精度な認識や,GPSを利用できない屋内(建物内や地下街)における端末の位置などを推定します.これらの技術は,私達の持つデバイスが私達の置かれた状況を適切に把握し,最適な情報を提供するために重要です.
電波を用いた位置推定
電波を用いた位置推定では,近年普及したスマートフォンや,最新のIoTデバイスを用いて,Wi-FiやBLEなどの電波状況から位置を推定します.
たとえば,建物内に設置されたWi-Fiアクセスポイントからの電波強度を用いて,駅や地下街,ビルなどの広い空間内においてスマートフォンで自分のいるフロアや部屋を確認できるようになります.
また,スマートウォッチやワイヤレスイヤホンの接続に使われるBLE(Bluetooth Low Energy)技術を利用して,超小型のビーコンを持ち運ぶorモノに貼り付けることによって,人やモノの移動を追跡する研究も行っています.
回転磁石マーカによる高精度3次元位置推定
スマートフォンで計測可能な特徴的な磁場を発生させるため、モータを用いて強力な磁石を回転させる回転磁石マーカを開発し、高精度な通過検出や位置推定の研究をしています。
2015年にはスマートフォンとマーカ間の距離1m以内で100%の通過検出を実現しました。 また2017年にはマーカと位置推定手法を改良し、 マーカからの距離3m以内でスマートフォンの3次元的位置の推定が可能になりました。 現在はベルトコンベアを用いて、マーカ周辺を移動するスマートフォンの経路推定を研究しています。
スマートフォン内蔵センサを用いた位置推定
スマートフォンには加速度センサやジャイロセンサ,気圧センサをはじめとして様々なセンサが内蔵されており,センサデータを記録できます.人が動作(歩く,座る,階段を登る・降りるなど)を行うと,動作に応じた特徴的なセンサデータが記録されるため,パターン認識技術を利用して「いまスマートフォンの持ち主が何をしているか」を推定できます.
また.「歩く」動作に焦点をあて,どこからどれだけ,どの方向に歩いたかを推定し位置推定を行うPDR(Pedestrian Dead Reckoning)の研究も行っています.これに関連して,歩いたときに記録されるセンサデータのシミュレーションも行っています.
イベントにおける行動誘導
近年,屋内位置情報技術の発達から,地下等,GPSの精度が悪い状況下でも位置情報が取得できる社会になりつつあります.そこで,屋内外における位置情報を含め様々なデータを元に,行動誘導に関する研究を行っています.行動誘導の例として,イベントにおける混雑箇所の人の分散や,災害時における効果的な避難誘導が挙げられます.
具体的には,UWB(Ultra Wide Band)やBLE(Bluetooth Low Energy)等の屋内外位置情報技術を用いたスマートフォンアプリの開発・行動誘導実験・データ解析のフローを通じて,日々効果的な行動誘導設計について検討しています.